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利益は十分 解雇は不要 醍醐 聰 東京大学名誉教授が証言
9 月 26 日の JAL 不当解雇撤回乗員裁判。注目された醍醐聰(だいご・さとし)東京大学名誉教授の証人尋問。醍醐教授 の証言は実に明快でした。教授は会社が雇用を維持する上で十分な利益を上げており、解雇の必要性はなかったことを詳 細に分析した証言を堂々と語り、改めて解雇の不当性が鮮明になりました。裁判当日の行動には、朝の宣伝行動に 192 名、 午前中実施した座り込みには 60 名、夕方の報告集会には 131 名の参加がありました。ありがとうございました。以下醍醐教 授に対する主尋問の一部を紹介します。
多額の営業利益を確保=実力である
Q .1,884億円の営業利益は更生計画を1,243億円も上回 っています。元管財人の片山英二氏は「本当の実力ではな く、下駄を履かせてもらっている。更生手続き上、特殊な財 産評定がある」「(円高や燃油など)偶発的な要因が大きい」 という証言をしていますが、いかがでしょうか。
醍醐 財産評定によって、営業利益に「下駄」が履かされることは会計学上、考えられません。財産評定後の利益は、日航の実力・収益力を示す指標です。
円高による部分は 140 億円、燃油市況による部分は 40 億円であり、営業利益に占める割合は低く、これらの要因に よって多額の営業利益を出せたとは言えません。
リスク耐性に必要なことは何か
Q .日航は「(自然災害や戦争、伝染病など)イベントリスク に備える必要がある」と言っていますが、リスク耐性をどのよ うにみますか。
醍醐 リスク耐性をつけるには、重要な点として、1.しっかり したリスク管理体制確立、2.自己資本の充実を図る、3.そして公租公課の削減があります。
不確かなイベントリスクに耐えられるまで、どこまでもコスト 削減すると言うことは、そもそも無理なことです。ですから、 更生計画もこうした点は求めてはいません。
自己資本は「リスクの緩衝帯」と言われますが、日航は監 査役の警告も無視して無謀な長期の為替予約を続け、 2200 億円の損失を発生させる等、様々な経営判断の誤りによる損失を発生させています。長期の為替予約よる損失 は当時の自己資本総額の 70%に相当します。
またホテル・リゾート事業などで 1,300 億円の損失を出し、 最近も 2009 年 3 月末に、燃油の繰り延べヘッジで 1,900 億円の巨額の損失を発生させました。こうした損失に至った 経緯を見るなら、経営判断が当然問われます。
リスク耐性には、空港着陸料などの「公租公課」の削減が 最も重要です。日航は過去 3 年間、毎年 1700 億円を納付 しており、これは、売上高の 1 割を占めています。
現時点で高いリスク耐性を備えている
Q .すでに行われたコスト削減で、収益減のリスクを吸収で きますか。
醍醐 固定費の削減(財産評定や希望退職など)は、1,396 億円の営業収益に相当します。営業外費用削減を含めれば、1,621 億円のリスクを吸収することになります。 東日本大震災の影響を含めた 11 年度連結収支計画から は、1,461 億円の減収を吸収しても、758 億円の営業利益 を出せるという高いリスク耐性を備えていると言えます。 整理解雇による削減額は年額 14 億 7 千万円で、リスク吸 収は 27 億 7 万円です。1,621 億円との対比では、たった 2%弱にすぎません。これでわかる通り、整理解雇はリスク 耐性に有効な方法とはいえません。
削減目標を206億円も超過達成し「余剰は持たない」というのは不自然
Q 片山氏は、「更生計画の基本コンセプトが余剰人員を持 たないこと」だと言っていますが、いかがでしょうか。
醍醐 更生計画上、人員削減はそれ自体が目的ではあり ません。人員削減はコスト削減施策の手段の一つです。人件費目標を 206 億円も超えて削減しており、それでもなお 人員削減が必要とするのは、奇妙な議論です。 金融機関は、融資金の回収に最大の関心があり、日航の 再上場の要件とされる純資産の規模、収益性の確立が関 心事です。人員数それ自体に関心があるとは考えられませ ん。
純資産も目標超過=上場に問題なし
Q. 企業再生支援機構が出資した 3,500 億円の回収には、 13 年 1 月までに再上場が必要だとされていますが、いかが でしょうか。
醍醐 10 年度純資産は 2,182 億円となっています。上場 の要件となる純資産 10 億円以上を、大きく超過していま す。
更生計画では、12 年度に純資産 1807 億円が目標です が、2 年も早く、しかも 375億円も超過達成しており、上場に 問題ありません。
資金繰りでは全日空より余裕ある
Q. 日航は 11 年 3 月に「生活調整手当」として総額 100 億円を支払っていますが。
醍醐 整理解雇で 14 億 7 千万円のコスト削減が必要としながら、その一方で生活調整手当として 100 億円を支出するのはつじつまが合いません。
日航の 3 月末の現金預金は、3,500 億円でした。同じ時点での短期債務は 3,400 億円であり、すぐに決済が必要と なってもすべて現金で支払えます。極めて堅実な状態とい えます。
一方全日空は、現金預金 370 億円と日航の 9 分の 1、短 期債務は 4,400 億円と日航より 1,000 億円も多いのです。 日航は全日空と比べても、資金繰りに余裕がある状態と言 えます。
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